サジェストキーワードは、SEO施策を実施する際に注目すべき概念です。
いまや検索エンジンのみならず、国内EC売上高上位100社のECサイトの約80%には、検索ボックスに候補キーワードを表示する「サジェスト機能」が実装されているといわれています。
ユーザーにとって身近なものになりつつあるサジェストキーワードを理解し活用することで、SEO施策をより効率的に行えるでしょう。
本記事では、サジェストキーワードの基本的な概念から調査手法、そして活用方法までを徹底解説します。
目次
サジェストキーワードとは?
調査方法や活用方法を知る前に、まずはサジェストキーワードについて正しく理解することが重要です。
本章では以下の項目について詳しく解説します。
- サジェストキーワードの定義
- サジェストキーワードが表示される仕組み
- サジェストキーワードと関連キーワードの違い
サジェストキーワードの定義
サジェストキーワードとは、検索エンジンをはじめとするプラットフォームの検索ボックスに軸となるキーワードを入力した際、付随して自動的に表示される候補のことです。
サジェストキーワードは、検索エンジンのアルゴリズムによって自動的に決定され、基本的には以下のように表示されます。
- 検索数が多いワード
- 検索頻度が高いワード
- 関連性が高いワード
- 話題のトレンドワード
「Suggest」は日本語で「提案する」「示唆する」を示す英語で、ユーザーの検索意図を予測し、候補のキーワードを表示する(=サジェストする)ことを意味しています。
主に検索エンジンの利便性を向上させるためのもので、最近ではスマートフォンでの検索数が増加しており、キーワードをすべて入力する前に候補が表示されるサジェストキーワードが活用されることが増えました。
なお、サジェストキーワードが表示されるプラットフォームは、下記のようにさまざまです。
- GoogleやYahoo!、Bingなどの検索エンジン
- InstagramやFacebook などのSNS
- YouTubeなどの動画プラットフォーム
- Amazonなどのショッピングサイト
ユーザーの潜在ニーズや流行を把握できるため、Googleの SEO対策やコンテンツ制作のキーワード選定時、またリスティング広告の出稿キーワードの選定時などに役立つ語句です。
サジェストキーワードが表示される仕組み
サジェストキーワードが表示されるのは、「検索サジェスト」と呼ばれる機能によるものです。
Google検索の場合、「Googleサジェスト」などと呼ばれます。
検索サジェストは、検索したユーザー自身が入力したキーワードだけでなく、ユーザーが過去に検索したキーワードの履歴や、他のユーザーが実際に検索したキーワードなどから検索意図を踏まえた生成されています。
例えば飲食店やクリニックなどの所在地を検索する際、ユーザーの位置情報にあわせた検索結果が表示されますよね。
このように、検索エンジンなどでローカル検索をおこなった場合に、ユーザーの位置情報を踏まえたサジェストキーワードが表示されるのです。
つまり、同じキーワードを同じプラットフォームで検索しても、ユーザーごとに表示されるサジェストキーワードは異なることになります。
ユーザーの潜在ニーズや行動が反映されているサジェストキーワードは、ユーザーがどのようなキーワードに興味関心を持っているか、ユーザーのトレンドは何かなどを推測するうえで重要な手がかりといえるでしょう。
サジェストキーワードと関連キーワードとの意味の違い
サジェストキーワードと近しいものに、「関連キーワード」があります。
関連キーワードとは、ユーザーが入力したメインのキーワードに関連するキーワードのことです。
通常、検索結果ページの最下部に8つ表示されます。
サジェストキーワードはユーザーの検索履歴や検索数などを反映するのに対し、関連キーワードはあくまで検索キーワードと一緒に検索される傾向にある候補のキーワードを表示しているだけです。
そのため、サジェストキーワードと関連キーワードは被る場合もありますが、完全に一致するわけではありません。
それぞれの定義を正確に理解し、表示される仕組みが違うことに留意しましょう。
次項では、サジェストキーワードの確認方法をお伝えします。
サジェストキーワードの確認方法
サジェストキーワードを調査するには、以下の2つの方法があります。
- 検索ボックスにキーワードを直接入力する
- サジェストキーワードツールを活用する
本章では、2つの方法についてそれぞれ解説します。
①検索ボックスにキーワードを直接入力する
簡単なのは、Googeなどの検索エンジンやプラットフォームにある検索ボックスに直接メインとなるキーワードを打ち込む方法です。
サジェストキーワードはユーザーが過去に検索した結果が上位表示される仕様になっていることは前項でお伝えしたとおりです。
そのため、日常的に使用しているページをそのまま使用すると正確な調査ができません。
検索履歴の影響を避けるため、ブラウザーの閲覧履歴などが保存されない「シークレットウインドウ」(「プライベートモード」と呼ばれるブラウザーもあります)を使って調査しましょう。
この方法は手軽で費用もかかりませんが、「メインキーワード+サブキーワード」など複数ワードで調査する場合は膨大な数の作業を手動で行わなければならず、非常に時間と手間がかかります。
また、表示されるキーワード数にも制限があるため、より手軽に多数のキーワードを調査する必要がある方は次項でご紹介する「サジェストキーワードツール」の活用をおすすめします。
②サジェストキーワードツールを活用する
サジェストキーワードツールは、サジェストキーワードを効率的に取得し、リスト化することができるツールのことです。
サジェストキーワードツールを使用すれば、簡単かつ自動でサジェストキーワードを検索・抽出することが可能です。
効率よく調査したい場合はサジェストキーワードツールを活用しましょう。
また、使用するツールによっては抽出結果の一括取得、カテゴリー分け、並び替えなども機能が準備されているので、キーワードの整理にも役立ちます。
自身がサジェストキーワードについて調べたい項目などを事前に洗い出し、適したツールを選ぶようにしましょう。
次項から、特にSEO対策で重視されるGoogleのSEOで活用できるサジェストキーワードツールを無料・有料に分けて紹介します。
無料のサジェストキーワードツール
サジェストキーワードツールは無料で提供されているものも多くあります。
今回は下記の5つをご紹介します。
- ラッコキーワード
- GetKeyword(ゲットキーワード)
- Ubersuggest(ウーバーサジェスト)
- Googleキーワードプランナー
- OMUSUBI
ツールによって特長や調査できる項目は異なります。
これから紹介する内容を踏まえ、自社製品にあったツールを検討しましょう。
①ラッコキーワード
「ラッコキーワード」は、ラッコ株式会社が運営するサジェストキーワードツールです。
旧名は「関連キーワード取得ツール(仮名・β版)」と呼ばれており、2020年に「goodkeyword」と統合されました。
- 22万人以上のユーザーが利用する国内トップクラスのサジェストキーワードツール(2024年11月現在)
- 検索可能なプラットフォームは、Google、Bing、YouTube、Amazon、楽天市場など多種多様
- 共起語や見出しの抽出機能など、キーワード選定において必要な機能を搭載
- フリープランは1日20回の利用回数制限があるが、有料プランへの移行も可能
「ラッコキーワード」はユーザーインターフェースや操作も直感的で初心者にも優しく、精度も信頼性が高いといわれています。
あらゆるマーケターにおすすめできるツールです。
②GetKeyword
「GetKeyword」の特長は以下の通りです。
・1回の検索で、下記11項目をまとめて調査可能
- サジェストワード
- 検索ボリューム
- 広告単価
- 競合性
- 再検索ワード
- 再検索マップ
- 質問文
- 同時ヒットワード
- ペルソナ
- 記事構成案
- 記事チェック
・特にキーワードに関する質問を文章で表示する「質問文」機能は、検索ユーザーの意図を文章で理解できるため、より簡単に検索意図を理解することが可能
「GetKeyword」は多彩な項目を網羅的に検索できるので、より細かく分析したい方におすすめのツールです。
③Ubersuggest
「Ubersuggest(ウーバーサジェスト)」は、アメリカのマーケターであるニール・パテル氏が開発・運営しているキーワード分析ツールです。
- サジェストキーワードの調査に加えて、検索ボリュームやクリック単価(CPC)キーワードの詳細分析も可能
- 「SEO難易度」や「広告の難易度」をスコアで確認可能
- 被リンク調査を行い、検索結果の上位表示サイトの分析にも活用可能
無料トライアルが用意されているので、まずは試してみることをおすすめします。
④Googleキーワードプランナー
「Googleキーワードプランナー」は、Googleが運営するキーワード調査ツールです。本来リスティング広告などの広告出稿時におけるキーワード調査を目的としていますが、サジェストキーワードの調査にも使えるツールです。
- Googleの公式ツールで信頼性が高く、Google広告の利用者であれば無料で利用可能
- キーワードごとに月間平均の検索ボリュームを抽出でき、競合性を確認できる
(無料版であれば検索ボリュームは概算表示だが、広告を出稿すれば具体的な数値が表示可能)
GoogleのSEO対策をおこなうのであれば、Googleの検索データを参照できる本ツールを利用してみてもいいでしょう。
⑤OMUSUBI
「OMUSUBI」は、サジェストキーワードをマインドマップ化してくれるツールです。
- キーワードがリストで並ぶのではなくマインドマップで「見える化」されるので、視覚的にわかりやすい
- 共起語(特定のキーワードと一緒に使われる機会が多い単語のこと)を見つけるのにも便利
表示されるのに時間がかかる、検索ボリュームがわからないなどのデメリットもあるので、他のツールと併用するのがおすすめです。
有料のサジェストキーワードツール
無料のサジェストキーワードツールでは物足りない、もっとスピーディーに多くのキーワードを調査したいと思ったときには、下記の2つのような有料のツールを検討するのがよいでしょう。
- Keywordmap
- Keyword Tool
順番に紹介します。
Keywordmap
「 Keywordmap」は以下のような特長があります。
- 日本語、英語、中国語など複数言語に対応
- GoogleやYouTube、X、Instagramなど主要なサービスにほぼ対応
- キーワード抽出量や検索結果の表示速度はトップクラス
無料・有料のプランが用意されていますが、月額69ドルからの有料プランであれば、検索ボリュームもチェック可能です。
国外でのSEO施策を検討している方にもおすすめです。
サジェストキーワードの活用方法
前項では無料・有料のサジェストキーワードツールを紹介しました。
本項では、調査したサジェストキーワードの活用方法について紹介します。
サジェストキーワードは、以下のような施策に活用できます。
- SEO対策するキーワードの選定
- コンテンツの制作・リライト
- リスティング広告で出稿するキーワードの選定と最適化
- サジェストキーワードを活用したマーケティング戦略の立案
それぞれの活用方法について解説します。
①SEO対策するキーワードの選定
検索エンジンで自社のサービスなどの検索順位を上げるSEO対策にも、サジェストキーワードを活用することができます。
キーワードツールで抽出したキーワードと自社の流入キーワードデータを比較することで、現在対策できていない有力なキーワードを特定できるからです。
洗い出した未対策の有力キーワードをもとに、今後どのようなコンテンツをどのような優先順位で制作していくかを検討すれば、効率的にSEO対策を進めて施策の成果を最大化できるでしょう。
②コンテンツの制作・リライト
SEO対策をしていくキーワードを選定することで、自社のオウンドメディアなどのWEBサイトにおける良質なコンテンツ制作に活用できます。
また、コンテンツのテーマ検討や、すでに公開しているコンテンツのリライトの方向性決定にも役立てることができるでしょう。
しかし、未対策のキーワードをすべてコンテンツに活用しようとすると、自社のコンテンツ同士で競合してしまう可能性が高くなります。
キーワードが異なるのに検索結果がほぼ同様の記事は、各キーワードごとに記事を執筆するのではなく、ひとつの記事にまとめてしまうなど工夫しましょう。
また、タイトルやメタディスクリプション、見出しにキーワードを含めてください。
しかし不自然にキーワードを盛り込むとGoogleからスパム行為と判定されかねません。
あくまで検索エンジンが最重要視しているのは有益な情報が掲載されているかという記事の質の部分なので、自然な表現の中でキーワードを取り入れていくことを心がけましょう。
③リスティング広告で出稿するキーワードの選定と最適化
検索エンジンからの集客を増やすために出稿するリスティング広告。
そのキーワード選定にもサジェストキーワードを活用できます。
例えば、自社製品のサジェストキーワードを確認すれば、おおよそのユーザーニーズを把握できるでしょう。
ユーザーニーズに合致したキーワードを選定してリスティング広告を出稿することで、見込みユーザーへのアプローチが可能になります。
また、サジェストキーワードから得られた情報を広告文に活かすこともできます。
ユーザーニーズにあわせて直接的に訴求することで、リスティング広告のクリック率やコンバージョン率の向上につなげることができるでしょう。
④サジェストキーワードを活用したマーケティング戦略の立案
さらにはサジェストキーワードで掘り起こしたユーザーニーズを踏まえつつ、マーケティング戦略を練っていくこともできるでしょう。
ユーザーニーズに沿った商品開発やサービス開発をおこない提供していくことで、効率的なマーケティングを実施できます。
サジェストキーワードを活用するときの注意点
一見すると便利なサジェストキーワードですが、実際に活用していくには以下のような点に注意する必要があるでしょう。
- サジェストキーワードは必ずしもユーザーニーズと一致しない
- サジェストキーワードと検索ボリュームはセットで考える
- サジェスト汚染はいち早く対処する
順に解説します。
サジェストキーワードは必ずしもユーザーニーズと一致しない
活用法ではサジェストキーワードをニーズの掘り起こしに活用することを紹介しましたが、サジェストキーワードが必ずしもユーザーのニーズに一致するとは限りません。
ユーザーのニーズは複数の要素が絡んでいて複雑化しており、サジェストキーワードとして簡潔に表出するわけではないからです。
サジェストキーワードだけを参考にするのではなく、アンケート調査の実施やリサーチ会社にマーケット調査を依頼するなど、ユーザーのニーズを複合的に分析していくことが大切です。
サジェストキーワードと検索ボリュームはセットで考える
サジェストキーワードとして表示されているキーワードでも、検索ボリュームを調べるとそれほど多くなかった、というケースがあります。
つまり、多くのユーザーが求めている情報ではないことを示しています。
サジェストキーワードからユーザーニーズを分析する場合は、必ず検索ボリュームとセットで考えるようにしましょう。
検索ボリュームは、先ほど紹介したGoogleキーワードプランナーでも調べることができるのでぜひチェックしてみてください。
サジェスト汚染はいち早く対処する
自社やサービスを検索した場合に、意図しないネガティブキーワードが表示されてしまうことがあります。
これは「サジェスト汚染」と呼ばれるものです。
放置しておくと機会損失につながるため、ネガティブキーワードを発見した場合はいち早く対処しましょう。
Googleの場合は、サジェストキーワードが表示されている画面の右下にある「不適切な検索候補の報告」から報告すると、表示を削除できる場合があります。
しかしこの方法ではサジェスト汚染を削除できない可能性もあるため、他のサジェストキーワードを表示させることでネガティブキーワードの表示を消すなどの手法がとられることも。
あまりにサジェスト汚染が続くようであれば、専門業者に依頼することも検討しましょう。
サジェストキーワードを活用してSEO対策を成功させよう
サジェストキーワードを理解し活用することは、SEO対策にとって欠かせない要素です。
サジェストキーワードからユーザーニーズを正確に把握し施策に応用することで、無駄のない効率的なSEOを実施できます。
しかし、実際にはどのようにキーワードを評価すればよいかわからない企業もあるでしょう。
そのようなときは、ハエモリ企画にお任せください。
ハエモリ企画は、国内のキーワード別の検索量と、どのようなキーワードでもって検索されているかを定量的に示す、いわゆる「国内総検索パターン」を把握できる唯一のSEOコンサルティングサービスを提供しています。
サジェストキーワードを活用したSEO施策を実施したい企業様は、ぜひハエモリ企画にお問い合わせください。